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ボストンマラソン爆発事件、「愛国者の日」を狙う犯人像は?


4/16の未明に米国・ボストンで開催されたボストンマラソンのゴール付近で2度の爆発があり、3人が死亡し170人以上が怪我を負うという事件がありました。フィニッシュラインまであとわずかという地点のコース沿道で1度目の爆発があった直後に、少し離れた場所で2度目の爆発がありました。死者の中には父親のゴールを待つ8歳の少年も含まれていたとの事です。

現地の日本総領事館は死傷者に日本人がいるとの情報は無いとしており、この事件に関する犯行声明は現在のところまだ何も出ておらず容疑者の特定には至っていないもようです。




こちらは4/16放送の「めざましテレビ」(フジテレビ系)が伝える第一報の映像です。ニューヨークとの生中継やオバマ大統領の会見のもようがまとめられています。

最初に沿道で爆発音と共に煙が上がったのは同日午前3時50分頃で、その13秒後に2度目の爆発音があり、どちらも国旗が立ち並んだマラソンコースの沿道の柵とビルとの間で起きています。現場の路上には被害者らの血だまりが広がり、呆然と行きかう人々の姿や力を合わせて沿道の柵を取り払おうとしている人々の姿がありました。

辺りはビルの窓が吹き飛んで1階のショーウィンドウのガラスが粉々になっており、倒れて動かない人や力なく座り込む人の周囲には血痕が飛び散っているという凄惨な光景の中で、やがてサイレンの音が響き渡り怪我人を乗せたストレッチャーが行きかうなど負傷者に対する必死の救助活動が始まりました。




こちらは気の弱い方はご覧にならないで下さい。AFPBB Newsの伝える爆発直後の惨状が収められた、テレビでは放送できないレベルのショッキングな映像です。

地元警察の発表では今回の爆発で少なくとも3人が死亡し170人以上の怪我人が出ているとの事で、消防当局が現場付近でまだ起爆していなかった2個の爆発物を発見し、治安当局によって起爆装置が外されたという情報も入っています。計4個の爆発物はいずれもゴール直前の42km地点付近に仕掛けられていました。

負傷者の治療に当たる医師が米メディアに、「金属片による怪我が非常に多い」と話している事から、殺傷力を高めるために爆弾の中に金属片が多数詰め込まれていたと見られ、それが爆発と共に近くにいた観衆や市民ランナーたちの体に突き刺さっていたことが判明しています。

米連邦捜査局は今回の事件をテロ事件として捜査を開始しており、米ホワイトハウス高官も米メディアに「明らかなテロ攻撃だ」と語っています。ロイター通信は捜査当局者の話として、「2つの爆発物には銃砲用の火薬が使用され、殺傷力を最大限に高める為に金属の玉や小片が詰め込まれていた」と伝えています。

ボストン市警によれば、「強力な爆発物だが、仕組みはそれほど高性能ではない」とされています。最初の爆発はスタートから4時間9分というタイミングで起 きていて、それが例年のマラソン参加者が完走した平均記録に近いものだった事から、犯人の周到なまでの計画性を物語っています。


今回の事件を受けてオバマ米大統領は急遽会見を開き、「我々は誰が何のためにやったのかを突き止める。爆発の責任を負ういかなる個人・グループにも重き裁きを受けさせる。」と語気を強めて発言し、更に「まだ捜査中であり、結論を急ぐべきではない。」とした上で、「テロ事件である」との見方をしていました。ホワイトハウス高官も同様に、「テロ事件」との見方を示しています。

一方で、NBCテレビなど複数のメディアは「事件に関わったとみられる人物を拘束した」と伝えていますが、これに関して警察当局は「容疑者は特定していない」と述べるに留まっています。多数の死傷者を出し深刻な被害をもたらした今回の爆発事件ですが、何故多くの市民が参加する伝統的なスポーツイベントの最中に起きたのでしょうか。それがこの事件を解明する為の1つの争点となりそうです。




こちらはTBSのインターネットによるニュース動画配信「JNN News i」の映像です。同日夜の現地ボストンの様子と、日本人ランナーとして参加し運良く難を逃れた石川和仁さんの目撃証言が見られます。

他にも爆発現場近くにいた日本人は、「歩いている途中で大砲の様な音が聞こえた。周りにいた人たちもビクッとしてそっちを見たが、爆発がフィニッシュラインのそばでびっくりしました。まだ他にも(爆弾が)あるんじゃないかと、それは感じます。」と語っています。


米国北東部のマサチューセッツ州にあるボストンは、人口は千葉県・船橋市とほぼ同じ約64万5千人が住む街です。周辺には教育・学術研究の中心都市であるハーバード大学などの有名大学があり、かつて松坂大輔投手(32)が在籍したボストン・レッドソックスのホームタウンとしても知られています。

この街一番の祭典と言われるボストンマラソンの歴史は古く、今年で117回目の開催でした。過去に日本人では瀬古利彦(56)が1981年と1987年に2度優勝しています。今年の大会では96ヵ国から約2万7千人が参加しており、大会ホームページによれば日本人は271人が参加する事になっていました。


岸田文雄外務大臣(55)は今朝の会見で、「今回の事件の背景につきましては、いまだ判明しておりませんが、いずれにしましても大変痛ましい事件であり、犠牲者、被害者、そのご家族、関係者に対し心からお見舞い申し上げたいと思います。現時点では日本人の被害の報告は受けておりませんが、引き続き全力で確認中であります。今回の事件の背景にはテロ事件の可能性も含めて、米当局において捜査中であると承知しています。我が国も関心を持って見守っております。」と述べています。

オバマ大統領は米国全土の安全対策を強化する考えを明らかにしており、今回の爆発事件という非常事態を受けて、ニューヨークでも市警察が対テロ専門チームを投入し、重要施設やホテルなどの警戒を強めています。観光客で混雑するタイムズスクウェアには数十台の警察車両が詰めかけており、物々しい警戒が続いています。同時多発テロがあった世界貿易センタービルの跡地周辺では検問が行われ、警察官が機関銃を装備して周辺の警備に当っていました。


2001年の9/11以来、米国は国内でのテロを封じ込めてきましたが、今回の爆発は一体何を目的としたテロなのでしょうか。4月の第3月曜日という日柄とボストンという街にその謎を解く鍵があるとする説が今のところ有力視されています。それはこの日が米国の独立運動の発端となった「レキシントンとコンコードの戦い」の勝利を記念した日である事からマサチューセッツ州で制定されている「愛国者の日(Patriots' Day)」とされ、毎年ボストンマラソンが開催される理由がそこにあるという点です。

従って犯人は何らかの目的でその祝事に反対し妨害する意図を持つ者という考え方が有力となっています。近代五輪の翌年に始まったという古い歴史を持つボストンマラソンは世界中からランナーが集まり注目を集める大会である事から、犯人はそのゴールとなるフィニッシュラインに爆発物を仕掛けて爆発する光景がテレビで中継される事を狙っており、自身の目的を世界中にアピールする効果は絶大なものとなります。

明らかにその最大限の効果を犯人は意識しながら、しかも毎年行われるボストンマラソンの全コースが周回コースではなく殆ど直線コースであり、以前から一定レベル以上の警備が難しいと指摘されていた事まで熟知していたのではないかと考えられています。


地元のメディアは爆発の起きた時間帯について、スタートから4時間以上後であった事に注目しています。その時間帯は市民ランナー達がフィニッシュラインに多く集まってくる頃で、被害をより大きくさせようとするその卑劣な手口は明らかに膨大な数の視聴者たちを意識した無差別テロであり、更に犯人は爆発物を仕掛けるところをテレビの取材カメラに撮影される事さえ意図的に狙っていたのではないかと報じています。

事件のあった周辺の住民からは、「まだどこかに爆発物が仕掛けられているのではないか」といった不安の声も多く聞かれ、爆発には至らなかった複数の起爆装置がどれだけ広範囲に渡って仕掛けられていたのかという点に関して現在も警察・消防当局が警戒を強めているとの事です。普段は静かで美しいボストンの街は一気に恐怖のどん底に落ち、現在も緊張感が漂っている状態です。


ジャーナリストの手嶋龍一(63)は、米国の他の街に比べてリベラルを重んじ市民の権利を主張するといったボストンの街の気風がニューヨークやロサンゼルスなどで行われている様な厳重な警備をボストンマラソンでは行いにくくさせていたのではないかと指摘しています。手嶋は2011年の同時多発テロの時に、実行犯がボストンのローガン空港から機内に搭乗していた事を例に出し、今回も警備の甘さを突かれた事は明白で標的になりやすかったという独自の見解を示しています。

確かに犯人はボストンという街のそういった気風を熟知していた可能性はありそうです。犯人像としてまず浮かび上がるのが米国内の極右反政府主義者であり、4月の第3月曜が彼らにとって重要な日である事が指摘されています。米メディアはこの日にテロを実行すると設定した事や実際の手法に着目しており、過激な政治的背景を持ったグループか、あるいは個人が関与しているとの捜査当局の見方を伝えています。


連邦捜査局(FBI)は現地で本格捜査を開始し、治安当局は実行犯が国際テロ組織アル・カーイダに関連したイスラム過激派や、米連邦政府に反発する右翼過激派や民兵組織といった複数の可能性があるとみて調べを進めています。また、一方ではイスラム過激派組織に何らかの影響を受けた者の犯行ではないかとの見方もある様です。

CNNは今回の犯行について、爆発物を仕掛けた犯人が「元々の計画に反して、警備の厳しいゴール地点には近づけなかったのではないか。」と判断しており、もしその計画通りに最も観客が詰めかけるゴール地点に仕掛けられていれば更に被害が増えていたと指摘しています。更に治安当局が現場の警察官らに対して事件直前に現場近くで不審な動きを していた黒シャツ姿の「色黒または黒人」の男性の行方を追うよう指示していたと伝えています。

ロイター通信は犯人像に関して、2つの近い場所でほぼ同時に爆発を起こすという手法はイエメンに拠点を置く「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」が発行するオンライン雑誌「インスパイア」が推奨していたと報じています。また、米治安当局者は事件後にサウジアラビア国籍の男性を含む複数の人物に事情を聴取したことを明らかにしていますが、いずれも事件の直接の容疑者として特定されていないとしています。

一方、複数の米メディアによれば、治安当局は4/15夜から4/16未明にかけて、ボストン中心部から北東に約10kmのレビア地区のアパートを今回の事件との関連で家宅捜索して、参考人2人から事情を聞いたとしており、この件に関してAP通信は州警察が事件捜査の一環で捜索令状を取得したと伝えています。

他にも同メディアは、爆発で足を負傷したというサウジアラビア国籍の20歳前後の男が現場付近で不審な動きをしていた事や、黒いバックパックを背負い立ち入り制限エリアに入ろうとしていた男がいた事、また、事件との関連は不明だが反政府的な極右勢力やイスラム過激派の犯行説が取り沙汰されている事を報じていました。


世界各国からこの犯行を非難する声が相次いで届いています。ロシアからは「野蛮な犯罪」と伝えられ、中国は「市民に対する暴力は強く非難する」との声明を出しています。韓国の朴大統領はオバマ大統領に「友情に溢れるはずの意義深い日にむごたらしい悲劇が発生し非常に残念だ。韓国国民と共にオバマ大統領と米国民に心からの弔意を表し、貴い人命が犠牲になったことに対し深い哀悼の意を表明する。」と哀悼のメッセージを送りました。また、韓国外交部の尹長官はケリー米国務長官にメッセージを送り、米国民に深い哀悼の意を示すと共に、「韓国政府は民間人を対象にしたあらゆる暴力行為を強く糾弾する。」と犯行を非難しています。

無実な約3000人の尊い命が失われた2011年の同時多発テロ以降、米国本土では本格的なテロ攻撃は発生していませんでしたが、今回の事件でオバマ政権の国内テロ対策の不備が指摘され、批判が起きる可能性も出てきそうです。当局は当面犯人像の割り出しに追われることでしょうが、既に全米がこのテロ行為によって再び恐怖と深い悲しみに直面している事は明らかです。


ここのところ米国内ではシェールガス資源の確保といった明るい話題や、失業率の低下と共に株価も上昇した事から経済が回復しつつあった状況でしたが、今回の事件を機に、事によっては再び戦時下の様相を呈する事態となるかも知れません。

いかに平和な日々が続いたとしても世界のどこかで絶えず暴力と憎しみの連鎖は起こり続けており、それが犠牲者を伴う形でこうして表面化するのはとても悲しい事です。もはや米国はテロとの戦いという宿命から逃れることはできないのでしょうか…。

一日も早く今回の事件の背景が明らかにされる事を望むと共に、
犠牲者の方々のご冥福をお祈りします。















   


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