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吉田沙保里の願い届きレスリングが五輪競技の最終候補に残る


2020年のオリンピックの実施競技をめぐりレスリングなど、8つの競技が最後の1枠を争っていましたが、5/29にロシアでIOC(国際オリンピック委員会)開かれた理事会では各競技団体がプレゼンテーション後、IOC理事らによる投票の結果5/30未明にレスリング、野球・ソフトボール、スカッシュの3競技が残りました。

同年の競技では25の中核競技と、残り3枠のその他の競技の計28の競技が行われることになっており、既にその3枠のうち7人制ラグビーとゴルフの2競技が決まっている事から、理事会では残り1枠の競技を決定する為にその最終候補の取り決めを行っていたところでした。

IOCによれば、まず1回目の投票でレスリングが過半数を獲得し、圧倒的な支持を集め最初に候補として残ることが決まったとの事でした。その後、更に過半数を取る競技が出るまで交渉が続けられ、ロゲ会長以外の14人の理事が11回に渡る投票を行った結果、2番目に野球・ソフトボールが、最後にスカッシュが決まり、有力視されていた空手は除外されることになりました。

これを受け、9月にアルゼンチンで行われるIOC総会で残りの1枠を決めることになっており、日本で人気の高いレスリングと野球・ソフトボールが五輪への 望みを繋いだ形となりました。レスリングの五輪存続を懸けて5/29に現地サンクトペテルブルク入りした女子レスリング金メダリストの吉田沙保里選手(30)は、「これ で終わるのではなくて、最後まで気を抜かないように9月までしっかり気持ちを入れて頑張っていきたいなと思います。」と語りました。




こちらはこのニュースを伝える「ANNニュース」(テレビ朝日系)の第一報の映像です。IOCのマーク・アダムス広報部長が、「レスリング」と候補として残った4つの競技の中でレスリングを最初に 発表するとその場で歓声が起こり、吉田選手は笑顔で立ち上がって拍手をしていました。彼女が携帯で報告している相手は恐らく全日本女子レスリングの栄和人ヘッドコーチ(52)かと思われます。


理事会の開会にあたってIOCのジャック・ロゲ会長は、「我々は重大な決定をしなければなりません。その1つがオリンピックの種目です。」と述べており、今回8つの競技には30分ずつ時間が与えられ、競技名のアルファベット順に20分のプレゼンテーションと10分の質疑応答によって残された1枠をめぐるアピール合戦が繰り広げられていました。

野球・ソフトボールの復帰を目指す同連盟は会場にバッティングマシンを設置して、来場者に実際にバッティングの経験をしてもらい競技の振興を図るなどの力の入れ様でした。事前評価は高くなかった野球・ソフトボールが今回2番目に決まった事に対し、国際ソフトボール連盟のドン・ポーター会長は「私達は逆境をはねのけた。」と語り、関係者の女性は「これからが勝負、まだ0対0よ。」と語っています。




こちらは「ニュースJAPAN」(フジテレビ系)が現地からの中継で8競技のプレゼンテーションが全て終わった事を伝える映像です。5/30には猪瀬直樹都知事(66)とフェンシングの太田雄貴選手(27) による2020年のオリンピック大会の東京招致に向けたプレゼンテーションが行われます。




こちらは5/30の情報番組「めざましテレビ」(フジテレビ系)の中で報じられたこのニュースの映像です。今回レスリングが選ばれた事に対して吉田選手は、「一番最初に「レスリング」という風に言われて、本当に飛び上がるほど嬉しかったですし、100万人近くの署名を集めてくださった皆さんのおかげだと思っています。ありがとうございます。」と感謝の気持ちを伝え、日本レスリング協会の福田富昭会長(71)は、「予選通過であって、まだ決勝戦ではないので、9月が決勝戦になるという気持ちでおります。」と語りました。

吉田選手は競技のプレゼンテーションには参加しませんでしたが、レスリング存続に向けたロビー活動を行っていました。5/26から開かれている国際競技団体の国際スポーツ会議「スポーツアコード」の会場内で胸に3つの金メダルをかけた吉田選手は注目を集めていたようで、黒山の人だかりができることもあったそうです。ロシアのプーチン大統領の側近に出会うと福田会長が、「3度のオリンピックチャンピオンです。」と吉田選手を紹介し握手を交わしていました。

また、2人は現在IOCの理事を務める棒高跳びの世界記録保持者のセルゲイ・ブブカ氏とも出会い、3つのメダルを手に取ったブブカ氏から「リオ大会にも挑戦するの?」と聞かれると吉田選手は、「リオ?イエス。」と答え、「すばらしい。頑張って下さい。」などと励まされる場面もありました。

更に夕食の席に居合わせたIOC理事のウー・チンクオ氏とも握手を交わし「明日、お会いしましょう。」と言われて別れるなど、次々とIOC関係者との接触に成功した吉田選手は会場の外で、「Please Save Olympic Wrestling (レスリングをオリンピック競技から守って) ぐらい言った方がいいね。」と顔をしかめ、今回の為に覚えてきたという英語で話せなかった事が心残りだったのか、「がんばる。」と言い残し自身のアピール不足を反省していた様です。


一夜明けて吉田選手は早朝のトレーニングの為にジョギングを済ませると再び会場に入り、福田会長と共に「さぁ、今日は決勝戦か。」と意気込み、「Save Olympic Wrestling 2020」をスロー ガンに掲げたグッズを手にして取材陣の撮影に応じるなど、制限時間一杯までロビー活動を行なっていました。



そうした吉田選手らの活動が功を奏してか、今回はレスリングが選ばれ最初の難関を通過することができました。吉田選手は日本から英語の特訓メモなるものを持参しており、女子レスリングでオリンピックを三連覇したという自らの抜群の知名度を武器にIOCの理事らに事前に特訓した英語で競技の存続を訴えていました。

そもそもレスリングが2020年のオリンピック大会から中核競技から外されたのは今年2月のIOCの理事会での決定によるものでした。レスリングは第1回のアテネ大会から続いてきた伝統敵な競技であるだけに吉田選手はそれが除外される事はもとより、今回の様な復活に向けての活動をしなければならない事など夢にも思わなかった筈でしょう。

国際レスリング連盟は今回のレスリングの存続に向けた2つの改革を行っています。その1つは「2ピリオド先取制」から「総得点制」へと変えた競技の勝敗のルール変更で、もう1つは女性理事を現在の2人から3人に増やし、更に女性副会長を設置するといった組織改革でした。これについてIOCのロゲ会長は5/23にAP通信のインタビューで、「国際レスリング連盟(FILA)はオリンピック競技に残るための必要な改革をした。」と述べていますが、「この事は1競技に絞ることを保証するものではありません。やるべき最低限度のことをやったということです。」と付け加えています。

ロゲ会長のこの発言は残りの7競技も同様にオリンピック競技に復活する権利があることを示唆しています。例えば野球・ソフトボールでは男子の野球と女子のソフトボールが一緒になった1競技にして、現在の9イニングを7イニングで終えるよう変更するといった大胆な改革をしており、スカッシュも競技時間の短縮を図り得点ルールをハンドアウト制からラリーポイント制に変更して、全面ガラス張りのコートを造るといった観客数の増員を目指した改革を行っています。


果たしてどの競技が残るか?という事を賭けたイギリスのブックメーカー(合法のノミ屋)の予想オッズは以下の様な興味深いものととなっています。

【 各競技の予想オッズ 】
1位 : レスリング → 1.57倍
2位 : スカッシュ → 3倍
3位 : 空手/スポーツクライミング/武術 → 17倍
6位 : 野球・ソフトボール → 21倍
7位 : ウェイクボード → 26倍
8位 : ローラースポーツ → 34倍


スポーツライターの玉木正之(61)はレスリングの存続の可能性を1/8としており、「個人的には他の競技よりも競技人口、歴史、男女差別の無さを考えると圧倒的に選ばれる価値がある。」と考えているようです。日本で人気の高い競技であるレスリングがオリンピックから除外される事を世間の人達はどう思っているのか?ヤフーニュース「クリックリサーチ」の9万2218人を対象に今年2/15に行われた調査結果は、以下の通り8割強の人が不満を表していました。

【 五輪のレスリング除外案をどう思う? 】
●仕方がない  : 18.3%
●納得いかない : 81.7%


今回は日本で「祖霊長類最強の男」の異名で知られるロシアの男子レスリング代表アレクサンドル・アレクサンドロヴィチ・カレリン選手が吉田選手と共に会場でロビー活動を行う予定だったそうですが、残念な事にカレリン選手は足に怪我を負った為に来場できませんでした。ロシア・レスリング連盟のゲオルギー・ブリュソフ副会長によれば、「トレーニング中にけがをしてしまい右足首を手術した。」との事で、もしこれが実現していれば吉田選手と共に霊長類最強コンビが実現していました。

こうして8つの競技がオリンピック競技としての存続を懸け、互いに譲らない状況になってしまった事はそれ自体が悲劇でしたが、吉田選手を抱える日本では人気のあるレスリングがとりあえず勝ち残ったのは喜ばしい事でした。しかし当然ながら今回選ばれなかった競技の関係者は悔しさを味わうことになる訳で、国際ローラースポーツ連盟のサバティーノ・アラク会長は、「とても混乱している。2~3ヵ月前にレスリングを除外したのに、また入れたなんて信じられない!とにかく混乱しているよ。」と怒りをあらわにしています。

そこにはオリンピックの本来の目的とはかけ離れた競技団体同士のせめぎ合いの構造があり、各競技のルールを変えてまで存続を目指すというのは成り振り構わぬ姿勢かと思えます。特に野球に関してはソフトボールと合体して1競技としてしまったり、イニング数も7回に縮めるといった野球ファンの気持ちからすればとんでもないルールを定め、もう何でもアリの状況となってしまっているのは真に頂けません。とかく勝敗に時間のかかる競技は放送に向かないという理由からか嫌悪されがちになるという点も納得できませんが、これはもう仕方がないのでしょうか…。


自分としてはカレリン・吉田の霊長類最強コンビが見たかったのですが、そう思う人も多かったかも知れません。ともあれ吉田選手の頑張りもあってレスリングが最初の関門を突破できたのは良かったと思います。 あとは9月のIOC総会でまたこれが大どんでん返しとならない事を祈るばかりです。










   


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