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南鳥島沖で世界最高濃度レアアース発見。埋蔵量は230年分!


東京大学と海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、今年1月に行った深海調査研究船「かいれい」による探査で南鳥島周辺の水深5,600~5,800mの海底の7カ所で泥を採取したところ、超高濃度のレアアース(希土類)を含む堆積物が存在する事を確認しました。南鳥島から南に約200km付近の海底下約3mの浅い層に最高で6500ppmという超高濃度のレアアース泥がある事を発見し、複数の海底下10m以内の浅い場所からも同様にその存在が確認できた事を3/21に発表しています。

この成果はJAMSTEC海底資源研究プロジェクトの鈴木勝彦主任研究員らと、東大大学院工学系研究科附属エネルギー・ 資源フロンティアセンターの加藤泰浩教授(JAMSTEC海底資源研究プロジェクト招聘上席研究員)らによるものでした。加藤教授らの研究グループは、2011年にタヒチやハワイなどの沖合の海底に膨大な量のレアアース泥が存在することを発見していました。

研究チームは、南鳥島周辺の海底には日本の使用量の220~230年分に相当する約680万トンのレアアースが存在するとみており、その濃度は中国に埋蔵されているレアアースの30倍強である可能性が高いとして更に今後もレアアース資源の分布について調査を続けていくもようです。ただし現状では技術やコスト面でまだ課題が残っているという専門家の指摘もあり、早急な採掘技術の確立が望まれるとの事です。




こちらは「NNNニュース」(日本テレビ系)の第一報です。資源の乏しいこの国とっては久々に明るい話題でした。




こちらは現地の南鳥島の様子を伝える映像です。思っていたよりも狭く、航空自衛隊の滑走路があるだけです。この島のはるか沖の海底が今回の舞台となりました。


東大の加藤教授は、「レアアースは日本の年間使用量の数百年分以上はあると推定される。泥を大量に引き上げる技術の開発を3年以内に進め、商業利用できるかを調べたい。想像を絶する夢のような高濃度だった。日本の福音になるだろう。国を挙げて開発を急ぐべきだ。」と話し、3~5年後には泥の引き揚げを開始したい考えを示しています。

実際の調査では、レアアースを含まない海底の表層堆積物の層が研究グループの予測した10m以上という値よりも薄く、比較的浅い深度の所に超高濃度のレアアース泥が存在していた事が判明しています。同グループは、5,000ppmを超える超高濃度のレアアース泥が上層部1~2mの所で出現している理由として、レアアースを吸収しやすい鉱物が堆積物のレアアースを含んで濃縮された可能性があると説明しています。


今回の探査で発見されたレアアースの濃度はタヒチ沖に分布するものの4~6倍、ハワイ沖周辺のものの10倍に達しており、しかも埋蔵量も豊富であった事が幸いでした。これは1日当たり1万トンの泥を採取すれば2010年の日本のレアアース需要量の42%を賄えることになり、ハイブリッド車に使われるジスプロシウムの74%、LEDやテレビに使われるテルビウムの380~750%に相当する量が供給できる計算になります。




こちらはネオジムというレアアースを含んだ磁石のおもちゃの映像です。小さな球体の1つひとつが従来の磁石よりも強力な磁力を持つ為にこの様な事が可能になっています。




こちらは同じ1つのモーターに通常の磁石を使った場合とネオジム磁石を使った場合との違いを比較した映像です。磁力の強さは上記の球体のおもちゃを見ても分かる様に、モーターの性能の違いも一目瞭然です。レアアース無しには近年の産業が成立しない事がよく分かります。

この様にレアアースは携帯電話やハイブリッド車のモーターなど産業分野での利用価値が高く、特に先端科学技術を実現する上で欠かせない物でありながら埋蔵量が少ないという希少性がネックでした。その多くが中国に集中するなど地域的な偏りもある為、日本は世界のレアアースの約90%を供給する中国からの輸入に頼るしかなく、コスト面の問題や地政学的なリスクも含め多くの課題がありました。




こちらは1時間近い映像ですが、政府・自民党は今回の発見に先駆けて昨年の11月に「自民党海洋資源合同会議」を開いています。会議というよりもお勉強会という意味合いが強いものでしょうか。片山さつき議員の顔も見られます。映像も音声も不鮮明で全部見て理解するのはシンドかったですが、さすがに大した情報量でした。しかし、こうした政府レベルの活動が実を結ぶのは何年先の事か..。


今回発見されたレアアース泥は中国の陸上の鉱床から採掘される鉱石の含有量を遥かに凌ぐ高濃度である為、資源としてはかなり有利な特長を備えていると期待されています。これまで日本はレアアースの確保を世界シェアの大部分を占める中国に依存しており、尖閣諸島の問題が更に悪化して日中関係の摩擦が増せば中国政府が日本への輸出を制限する可能性もある事が危惧されていました。その状態から脱却する為にも今回の発見は朗報であり重要性の高いものでした。

中国ではレアアースを巡って、この数年の間に何が起きていたのでしょうか?そして現状はどうなっているのでしょう。



こちらはレアアースの不法採掘に関する中国語のニュースに日本語の解説を付けたものです。この問題が起きていたのはレアアースの価格が高騰し、採掘して売ればボロ儲けだった頃でしょう。非合法に採掘した者はにわかに成金となったものの、採掘地周辺の山は枯れ河川の水が混濁するという環境破壊をもたらしました。レアアースの産地ではこんな悲惨な事が起きていたのです。




こちらも中国語に日本語の解説を付けた映像で、世界のレアアースの相場が下落した事から中国が生産を停止したというニュースです。自国の産業を守る為に行った政策で世界から反感を買い、産業そのものを衰退させ環境破壊を残してしまうという様は、まさに政治手腕の無さとしか言えず自業自得そのものです。




こちらは「日経スペシャル 未来世紀ジパング 」(テレビ東京系)で放送された、中国で起きたレアアース・バブルの実態に関する映像です。2010年9月に起きた尖閣諸島中国漁船衝突事件の後でネオジムやジスプロシウムといった代表的な希少金属の価格が急速に変動した事や、中国のレアアース採掘の現場で一体何が起きていたのかをまとめあげています。

この映像を見ると当時のレアアースの高騰は中国が仕組んだ国家的な思惑だったとしか思えない事が分かりますが、世界はこれを黙って認めてはおらず、許容限度を超えたとたんにそっぽを向くという反応を示し、直後レアアースの価格は暴落しました。


中国のレアアース産業は現在も低迷しており、既に最悪の状況となっています。中国のレアアース大手2社は昨年の業績予想としてそれぞれ純利益が前年比の50~60%減、同じく60~80%減になるとの見方を示していました。大企業だけでなく中小企業の経営も極めて困難な状況となっており、その原因はレアアースの生産過剰と需要減少による二重の打撃によるものとみられています。今後も中国のレアアース産業の環境改善や需要好転は難しく低迷が続くものとみられ、環境破壊の問題も無視できない状態となっています。

南鳥島のレアアースのニュースは中国でも大きな注目を集め、中国新聞社をはじめ各メディアが報じています。「環球時報」がこのニュースを報じると、中国国内のネット上では「南鳥島は日本領ではない」、「南鳥島は中国領だ」といったコメントが多く寄せられたほか、「日本でレアアースが大量に見つかったならば、中国はもう日本にレアアースを輸出するべきではない」という反発の声も上がっていました。


週末にかけての東証では、この話題を受けて国内のレアアース関連企業の株価が堅調となっている事から投資家の関心を集めているもようです。資源採掘の期待が膨らんで洋上掘削を手掛ける銘柄の買いが先行し、「三井海洋開発」や、「日本海洋掘削」などの株価が上昇しています。その一方で、ジャスダック上場の、「鉱研工業」の株価は買い一巡後に伸び悩んでいました。

資源に乏しいこの国が、これまで活発に利用してきたとは思えない海洋資源の探索に本格的に着手し始めたのは正解どころか、いささか遅すぎたのではないかという気もしてきます。先日のメタンハイドレートの海上での生成技術が確立された事も然りですが、今回分かったレアアースの埋蔵量は我々が生存する時代には無尽蔵に採掘できる量とみて間違いないでしょう。しかも海底下数メートルの浅い場所にあって採掘も容易という事や非常に高濃度であるという点も、まさに神の恵みと言える出来事です。

間違いなくこれはレアアースを100%国内で自給する為の第一歩を踏み出せる成果であり、将来は日本が中国に代わる輸出大国になる可能性も高まりました。ドイツの科学者によればレアアースはリサイクルが可能とされているそうで、その技術にも注目が集まっている様です。幾つかの技術面の問題をクリアすれば、日本の排他的経済水域(EEZ)内で採掘法が確立できるのも時間の問題でしょう。

あと5年以内にこれまで輸入に依存してきたレアアースを国内で完全自給できる目処が立てば、供給不安や価格の高騰に悩まされる事も無くなり、特に中国への依存からの脱却は尖閣諸島問題の駆け引きに使われる可能性のある政治カードが1つ消えることになる為、大変重大な発見だったと言えます。


現状レベルではまだ前途多難なのかも知れませんが、加藤教授をはじめとする研究グループの方々に感謝し応援すると共に、早急な採掘技術の確立と自給率100%の達成を願っています。











   


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