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横浜市の待機児童が3年で最多からゼロに。成功モデル全国へ


保育施設に入所を希望しても入れない、いわゆる待機児童の数が今年4/1現在の横浜市でゼロになった事を林文子市長が5/20に会見で発表しました。同市の待機児童数は3年前の2010年4月の時点で1552人と2年連続で全国最多でしたが、待機児童削減を掲げて2009年に初当選した林市長は3年間で待機児童をゼロにする事を目標に財源確保を重視した政策を打ち出し、待機児童対策費を同年度の約72億円から10年度には約84億円、12年度には約157億円まで増額しました。

同市は待機児童が多い地域に保育施設を新設する際の補助金を手厚くするなどして企業が参入しやすい環境を整えた事により、この3年で新設した144ヵ所の認可保育所のうち企業経営のものは79ヵ所となり、市が独自の基準で認定する横浜保育室も28ヵ所増やしました。更に保護者の相談に乗る専門相談員として「保育コンシェルジュ」を各区に配置し、幼稚園での預かり保育の定員も拡充して受け入れ枠を約1万4千人増やしています。




こちらは「ANNニュース」(テレビ朝日系)によるこのニュースの第一報の映像です。同日午前11時半過ぎに林市長は待機児童数ゼロを達成した事を会見で発表しています。


安倍総理は成長戦略で2017年度までの待機児童ゼロを掲げ、この成功モデルを全国に広げていく考えを示しており、他の自治体も注目しています。同市では今後も対策を続け、現状を維持していきたいと話しています。しかし一方で、認可保育所など希望する保育所に入れない入所待ちの問題が起きており、認可外の保育所に入っている場合や自宅で親が育児休暇を取るなどして面倒を見る人がいるケースでは待機児童としてカウントされないなど、課題が残っているのが実情です。こうした「潜在的な待機児童」の数は1746人とされ、市が横浜保育室などへ紹介しています。


会見で林市長は、国がこれを「横浜方式」と評価している点について、「株式会社、幼稚園、鉄道会社、大学など、多くの熱意が結集した成果。具体的な中身はそれぞれの自治体が既に行っている。民間と行政が手を携えてやれば、難しいことではない。」と話し、「待機児童ゼロの目標達成はスタート地点。来年に向け、さらなる努力を続けたい。」と述べています。

菅義偉官房長官は同日午後の記者会見で、横浜市の成果について、「人口370万人を擁する横浜市でゼロになった。やればできるわけで、横浜の取り組みの全国展開を図りたい。他都市もぜひ参考にし、取り組んでもらいたい。」と述べ、「横浜方式」が全国に波及することに期待を示しています。




こちらは「待機児童解消策を横浜市の林市長に聞く」と題された「BSフジLIVE プライムニュース」の映像です。「横浜方式」の特徴として、「株式会社の参入促進」、「横浜保育室」、「保育コンシェルジュ」を挙げ、横浜市の市立認可保育所の内訳は株式会社による運営の比率が全国平均の2.8%に対して29%と、10倍強に達している事が分かります。

また、横浜保育室と認可保育所との違いの詳細が解説され、認可外でも同市が独自の基準を定めて認定した横浜保育室の拡充に至るまでのプロセスを林市長が説明しています。更に保育コンシェルジュを林市長が初めての試みとして始め、1552人の待機児童をどうするか緊急プロジェクトチームを組んだ結果、子育ての相談ができる人材を公募して嘱託職員として各区役所に配置し、専門の保育担当者とセットで入園希望者の相談に応じる方式を確立した事などを語っています。


5/15にインターネット上で情報サービスを行っているライフメディアは、同社の運営する調査サイト「リサーチバンク」で、「保育園・幼稚園に関する調査」の結果を発表しています。 この調査は4/30から5/6にかけて行われ、20代と30代の未就学の子供を持つ全国の男女1200名を対象としたものです。設問と回答の結果は以下の通りです。

【 保育園・幼稚園に関する調査 】 (対象→保育園や幼稚園に通っていない未就学児を持つ親)

設問 : 「子共を今後保育園か幼稚園に通わせたいか?」
回答 : 「幼稚園に通わせたい」が68% 「保育園に通わせたい」が20.5%

設問 : 「保育園不足を実感するか?」
回答 : 「とても実感している」が16% 「実感することがある」が40%

設問 : 「幼稚園不足を実感するか?」
回答 : 「とても実感している」が7% 「実感することがある」が26%

設問 : 「子共が病気になったとき、外せない用事や仕事があった経験は?」
回答 : 「ある」が49%    

設問 : 上記設問の「対応方法」については?
回答 : 「近くの親族に預ける」が67% 「用事や仕事をあきらめる」が40% 「病児保育施設・サービスを利用」が9%程度

設問 : 保育制度で「充実・改善してほしい」ことは?
回答 :「保育料の補助など経済的負担の軽減」が55% 「待機児童の解消」が38% 「時間外・延長保育の充実」が36%

設問 : 「育児休暇3年」に対する期待度
回答 : 「期待している」が40%程度 「期待していない」が40%程度

設問 : 「5年間で待機児童ゼロ」に対する期待度は?
回答 : 「期待している」が52%


この調査結果を見て分かるのは待機児童の問題が既に全国に広がっている事で、当事者にとってこれは家庭崩壊にまで繋がる深刻な問題です。全国の区役所などの自治体は、待機児童を抱える入所希望者1人ひとりに対してニーズを聞き出し、従来までの「残念ながらご希望が叶いませんでした。」という通知を返すだけで終わる成果の上がらないやり方を改革する必要があります。

林市長が上記の「BSフジLIVE プライムニュース」の中で語っていた、「株式会社の参入促進」、「横浜保育室」、「保育コンシェルジュ」の3本柱の政策により3年間で待機児童ゼロの目標を達成することができたのは称賛に値するものですが、そのうち最も効力を発揮したのは保育士の資格が無くてもできる保育コンシェルジュの活躍だったとされています。

安倍総理が成長戦略の中で「横浜方式」を取り入れる事の是非よりも、各地域毎に更に高度な取り組みができると指摘し、自身の提言として、「理念や方向性を語るのではなく、具体的に行動する時!」と林市長は同番組の中で締めくくっています。まさにそれは市長としてのリーダーシップであり世の為の政治ではないでしょうか。


現状で残されているのは保育施設の定員割れと人材育成の問題です。財源を確保して施設数を増やす事ができたとしても、地域によってそれぞれの施設には人気度の違いが生じているそうで、同市内の場合では4~5歳児を中心に定員割れとなっている保育所も増えている様です。4/1時点の認可保育所580ヵ所のうち、253ヵ所が定員に達しておらず、これは前年比で74ヵ所の増加という結果が出ています。

定員数の空きでは2096人という数となり、前年比で686人の増加となっています。これまで待機児童の問題がクローズアップされてきたのが、今後は定員割れによって経営不振に陥る 施設も出てくる可能性があると懸念されています。

人材確保に関する課題も残されており、これも今まで待機児童の問題に注力してきたばかりに取り組みの遅れが目立っているそうです。元々保育士が不足している地域に対する人材確保の必要性と共に、特に若い人材にみられる採用後の定着率の低さも問題視されています。同市港北区の保育所では職員に評価制度を導入するなどして、働く者の意欲を高め定着率の向上を図っているとの事です。

数としての目標を達成した林市長の次の取り組みは、現状の維持もさることながら子供たちに対する保育の「質の向上」に向けられているのではないでしょうか。既に同市内では企業が経営母体となる保育所で始められた延べ200回以上に渡る講座の受講といった保育士のレベルアップの為の試みも注目されていることから、質の伴った量の拡充が求められる時代に入っていると言えるでしょう。












   


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